E2A展「Methodologies - スイス建築の方法論」
Piet Eckert and Wim Eckert / E2A
21. März 2022
All photos by Neoplus Sixten Inc.
E2A展「Methodologies - スイス建築の方法論」会場レポート。チューリッヒを拠点とする、ピート・エッカートとヴィム・エッカート兄弟からなる建築設計事務所E2Aの日本初となる展覧会。スイスやドイツを中心に活躍する彼らの、理想論に対して現実の集積を照らし合わせるという手法を垣間見る。
東京丸の内のUSMモジュラーファニチャー・ショールームをメイン会場に、クリエーションバウマン・ショールーム、フライターグ渋谷店、フライターグ銀座店の3カ所をサテライト会場として開催。
本会期後、4月末福岡と6月京都でも開催される。
USMはE2Aと同じくスイスの企業。USMの代名詞であるモジュラーユニットを組み上げた展示台に、近作7点が紹介されている。
「展覧会の名称である『方法論』とは、E2Aの設計やデザインに向き合う姿勢そのものを意味しています。方法とは、理想論に対して現実の集積を照らし合わせるというものです。両者を照合することにより、そこには皮肉や喜び、さらには戦略的な矛盾といった見方が浮上します。これらから、建築を取り巻く文脈やプログラムの課題を再検証するのが彼らの方法なのです。欲望と現実、そして物語と分析との間の軋轢が一層高まる現代において、彼らはそのヴィジョンをひとつに収束させるよりもむしろ、相違や破綻といった状況と潜在する有機的な論理とを統合させようとしています。これらの制約が、建築的形態へと変換されていくのです。」
E2A建築の本質を探求する “模型”、“実施設計図”、“イメージ” が展示されている。これらについて、エッカート兄弟は次のように述べている。
「建築を生み出し、発展させる上での状況は、近年特に脆弱になりつつあります。そんな中では、持続性のあるコンセプトを導くための戦略的な方法論こそが非常に重要となってくるのです。方法論をして、空間を発展的に序列づけるための道具として使うということです。」
〈Geistlich, apartment building〉
「本展ではまた、抽象性と現実性という相反するテーマが掲げられています。この展覧会では、建築とは展示されるものである一方、観客によって想起されるものなのです。たとえば模型の読み取りやすさは、レントゲン写真や、あるいは全身のスキャン画像のようです。そこではコンセプトの本質が描かれる反面、細部は隠されています。対してドローイングは建築を(既存の)現実の中に文脈化しています。実施設計図はコンセプトを慣習へと翻訳し、コンセプトから現実へと運ぶ乗り物とも言えるでしょう。これらの建築ツール、デザインのプロセスの中のあちこちに顔を出し、また建設と構想の様々な段階を描き出しているとも言えます。しかし、ピート・エッカートとヴィム・エッカートは、こうしたすべてのメディアをいかに同調させ、最終的な決断に至るかが問題だと言います。その決断があるからこそ、すべての作業が同時多発的に指揮され、現実的なコンセプトが実際の建物としての生命を宿すのだと。」
〈Atelier Housing〉の模型。
実施設計図。
そしてイメージ。
このように各作品とも3つの要素で展示されている。
模型はどれも抽象的なもの。
本来E2Aの模型は非常に大きく彫刻のようなものであるが、それらを化石燃料を消費して運搬するのはどうだろうかと言う議論が浮上し、データのみを受け取り、3Dプリンターを用いて日本で制作されたそうだ。
サテライト会場の一つであるFREITAG/フライターグ銀座店。使用済みのトラックの幌などを使用してカラフルなバッグなどにアップサイクルするブランドとして有名だ。
〈Campus Moos, secondary school〉
作品の模型はUSMのメイン会場にあったが、こちらではさらに複数のイメージを見ることができる。
フライターグはE2Aと同じチューリッヒに本社があり、創業者も兄弟で、しかもエッカート兄弟とは同い年だそうだ。
ちなみに店舗は2011年トラフ建築設計事務所が手掛けた。
本展主催のJSAA/日瑞建築文化協会会長の石田建太朗さん(中)、事務局長の黒川智之さん(左)、常山未央さん(右)。3人はスイスで学んだり、勤めた経験がある。
JSAAは日本とスイスの建築分野での交流と相互理解のためのプラットフォームで、日本とスイスの建築文化交流を持続的に発展させるべく様々な企画を通じて発信しており、コロナ禍においてもオンラインでのやり取りを続け本展の開催を実現させた。
【E2A展 Methodologies - スイス建築の方法論】
E2A Piet Eckert and Wim Eckert Architekten – Methodologies
会期:2022年3月18日〜4月7日
会場1:USMモジュラーファニチャー ショールーム
千代田区丸の内2-1-1 丸の内MY PLAZA
11:00 - 19:00(水曜休)
会場2:クリエーションバウマン 東京ショールーム
港区南青山6-3-3
10:00 - 18:00(水曜・祝日休)
会場3:フライターグ ストア トウキョウ シブヤ
渋谷区神宮前6-19-18
11:00 - 19:00(無休)
会場4:フライターグ ストア トウキョウ ギンザ
中央区銀座1-13-12
11:00 - 19:00(無休)
入場:無料
九州展
会期:2022年4月末
会場:福岡大学 ヘリオスプラザ
京都展
会期:2022年6月
会場:京都工芸繊維大学 美術工芸資料館
主催:一般社団法人 日瑞建築文化協会(JSAA)
E2A展実行委員:石田建太朗、平瀬有人、黒川智之
金野千恵、湯谷紘介、黒川彰
山口一紀、内田奈緒、小山祐輔
根市拓、常山未央
詳細:http://js-aa.org/event003.html
Posted by Neoplus Sixten Inc.
E2A Piet Eckert and Wim Eckert Architekten – Methodologies
会期:2022年3月18日〜4月7日
会場1:USMモジュラーファニチャー ショールーム
千代田区丸の内2-1-1 丸の内MY PLAZA
11:00 - 19:00(水曜休)
会場2:クリエーションバウマン 東京ショールーム
港区南青山6-3-3
10:00 - 18:00(水曜・祝日休)
会場3:フライターグ ストア トウキョウ シブヤ
渋谷区神宮前6-19-18
11:00 - 19:00(無休)
会場4:フライターグ ストア トウキョウ ギンザ
中央区銀座1-13-12
11:00 - 19:00(無休)
入場:無料
九州展
会期:2022年4月末
会場:福岡大学 ヘリオスプラザ
京都展
会期:2022年6月
会場:京都工芸繊維大学 美術工芸資料館
主催:一般社団法人 日瑞建築文化協会(JSAA)
E2A展実行委員:石田建太朗、平瀬有人、黒川智之
金野千恵、湯谷紘介、黒川彰
山口一紀、内田奈緒、小山祐輔
根市拓、常山未央
詳細:http://js-aa.org/event003.html
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