寛容な暮らしと街並みをつくりだす

ホンゴウハイツ

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30. maggio 2022
All photos by Neoplus Sixten Inc.
1階から3階が8住戸の賃貸住戸、4階がオーナー住戸となる。
正面は南西向き。廊下のようなバルコニーのようなせり出しが目を引く。
南側に回り込んでオートロックの門扉がつくメインエントランスへ。敷地は白山通りから1本入った本郷台地の坂の登りはじめに位置し、FLは1.4m上がる。
オートロックの先はアプローチを兼ねた庭になっている。ここから2階・3階の住戸は女性限定だそうだ。
2階に上がると軀体の中に穿たれたような共用部が現れる。
外観で見えた廊下のようなバルコニーは、まさに廊下のようなバルコニーだった。コンパクトなワンルームマンションのバルコニーは、避難経路や室外機置き場として以外活用されないことが多いが、共用部である廊下とバルコニーを一緒にすることで、共用部でありながらも使い道のある半専有部となった。
玄関扉とは別の両開扉を設け、ご覧のように内外が一体となる空間が生まれる。このアパートでは全ての住戸に、共用部に対してプラスαの開口を設け、共用部を介して周辺環境へ関わりを持たせることができる。
201号室。居室は19.3㎡であるが、天高が約3.2mもあるため数字以上の広さを感じる。床はモルタルとフローリングで仕上げを切り替え、天井にもカーテンレールを設えたので、奥を寝室として使い勝手を良くした。
さらに廊下側を開放し一気に25㎡くらいに拡張できるとも言える。
この開口は、設計者としては「こう使ってね」という要求ではなく、形骸化したワンルームアパートのプランに、ライフスタイルの選択肢を提供することが大切なのではという意図だ。扉の開閉、カーテンを付ける付けないまたは開閉など、外部に対するアプローチは住み手が好みに応じて調整可能だ。
二方向避難経路のため、専有のバルコニーもある。1階の天井が折り上げられているため段差ができ、一人寝転がれる広さのユニークな半屋外空間が生まれた。
奥の202号室、203号室へは廊下を上がったり、曲がったりしながら軀体の中を縫うようにアクセスする。
202号室。こちらは廊下に開放・接続は出来ないが、1m以上下がった所に半畳ほどの空間に窓を設けた。この部分の窓は廊下より下に位置し、地面が近くなるのでで避難経路としても機能する。
203号室の前は突き当たりで、この住人以外はほぼ訪れることがない “プライベート共用部” で、テーブルや椅子なども出して楽しめそうだ。
2階平面図。
3階へ上がって301号室の前。こちらは腰壁があり少し趣が異なる。
301号室の中からはこのようになっており、窓際にコンパクトなダイニングテーブルが似合いそうだ。
302号室。玄関扉が2枚並ぶようなユニークな部屋。窓際にはデスクが設えられている。
3階平面図。
1階の3住戸はSOHO利用も可能な長屋形式に。
101号室。この住戸は一番広く約31㎡。その他は20㎡前後となる。
FLを80cm下げ、天高は2.7m。他の住戸と同様に土間部分とフローリング部分でゾーニングしている。
1階も全住戸に片開き窓が備わる。
一部天井を大きく折り上げ採光を確保している。この折り上げが201号室のバルコニーで持ち上げられている。
1階平面図。
最後に4階のオーナー住戸へ。4階ワンフロアを使った2LDKに夫婦で住まう。オーナーは元々この場所に住んでおり、子育ても終わり、二人には大きすぎる既存の戸建て住宅をアパートと自身の終の棲家として建て替えた。
南の角には小上がりで畳の客間。
4階平面図。
主担当の西田幸平さん。
「生活環境よりも経済合理性がとりわけ優先されてきたワンルームマンションにおいて、賃貸面積は確保した上で居住環境を向上できないかという問いから始めました。これまでの共用廊下・専有バルコニー・住戸の関係性を再編集し、まちから寝室までを段階的にゆるやかにつなぐ事で、住まい手が環境や社会とのつながり方を都度調節しながら暮らせる住環境となっています。住人それぞれが周辺環境との心地よいつながり方を実践する風景のあつまりが、寛容な暮らしと街並みをつくりだすように考えました。」と西田さん。

入居者募集中:www.realtokyoestate.co.jp/estate.php?n=15011
【ホンゴウハイツ】
設計・監理:西田幸平+大西康隆+オンデザイン
構造設計:オフィス彦根・谷川充丈構造設計事務所
設備設計:テーテンス事務所
施工:春日建設
主要用途:共同住宅
構造・規模:RC造/地上4階
敷地面積:163.50㎡
建築面積:104.91㎡
延床面積:283.72㎡
建蔽率:64.17%
容積率:173.53%

Posted by Neoplus Sixten Inc.

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