磯崎新とアニッシュ・カプーアによる移動式コンサートホール「アーク・ノヴァ」
Neoplus Sixten Inc.
20. 9月 2017
Photo by Neoplus Sixten Inc.
9月19日より東京ミッドタウンで開催の「ルツェルン・フェスティバル アーク・ノヴァ 2017 in 東京ミッドタウン」内覧会に行ってきました。
アーク・ノヴァはラテン語で「新しい方舟」を意味する。はじまりは、2011年3月東日本大震災の直後、スイスの音楽祭ルツェルン・フェスティバル芸術総監督のミヒャエル・ヘフリガー氏から、友人である音楽イベント企画制作会社の梶本眞秀氏に『何かできることはないか?何かしたいんだ』と気づかう一本の電話。いずれ被災地の人々の心をケアするため"音楽や芸術が必要になる”と、共通の知り合いである建築家磯崎新氏に声をかけ、さらに磯崎氏の友人で現代彫刻家のアニッシュ・カプーア氏も加わり、プロジェクトは本格始動。そうして人も建物も傷ついている被災地へホールを携えて赴き音楽を届ける可動式のコンサートホールが生まれた。
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これまで2013年から2015年にかけて、松島、仙台、福島の3か所の被災地で展示、使用されてきた。東京ミッドタウンはこの復興支援の取り組みに賛同し、「アーク・ノヴァ」を東京で初めて展示。展示期間中、映画上映会やコンサートなどのイベントを開催する。
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高さ18m、幅30m、奥行き36mのエアドームは床面積642m2。
塩化ビニールでコーティングされたポリエステル製の0.63mmの膜でできている空気膜構造の建築。重さ約1,700kg。
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巨大な送風機により1時間ほどで膨らませることができる。使用後は折り畳んでトラックで輸送できるように設計されている。東京ドームと同じつくりとのこと。
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芝生広場にちょうど納まる大きさ。建築、アート、デザイン、パフォーマンスをひとつ屋根の下で展開することができる。
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突如現れた巨大な物体に取材陣も通りがかりの人も皆夢中になっている。
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エントランスは2箇所。回転ドアからひとりずつ入場する。
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昼間の内部は鮮やかなピンク色の世界。夕刻になるにつれて紫色に変化していく。収容人数は約500人。
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磯崎氏は、ヘフリガー氏と梶本氏から話をもちかけられた時すぐさま「ノアの方舟」を思い浮かべたという。そのコンセプトの元、何度もスケッチを描き、カプーア氏とのやり取りを重ねていった。構造強度、音響、客席をはじめ、雷雨時の対応、避難路の確保など、数え切れない難問を乗り越え、震災から約2年半をかけて東北の地でようやく現実のものとなった。
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ホール後方から天井にかけて横断する柱のようなドーナツホールは、ダイナミックで有機的。まるで巨大な植物か胎内にいるかのよう。
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ホール内のベンチの一部は、津波の塩害と地盤沈下によって伐採された宮城県の瑞巌寺の参道杉を使用している。
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たちあがり部分。
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パネル展示エリア。アーク・ノヴァ プロジェクトに関する資料、被災地で行われた演奏会やワークショップの写真など。
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梶本眞秀氏。「ひとりの人間の思いやりが連鎖して実際にかたちになる素晴らしさを感じてください。今回初めて東北以外の地での開催となるわけですが、震災の記憶の風化を防ぐための一石になればと思います」
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東京ミッドタウンで展示開催するきっかけとなった「そこまでやるか展」は、芝生広場に隣接する21_21 DESIGN SIGHTで開催中。アーク・ノヴァの模型や映像を含め、既存の表現方法の垣根を超えた作品群を観ることができる。
9月30日には、磯崎新、ミヒャエル・へフリガー、梶本眞秀各氏が登壇するトークも開催される。
開催期間: 2017年9月19日〜10月4日
開催場所: 東京ミッドタウン 芝生広場
詳細:www.tokyo-midtown.com/jp/event/ark-nova/