新関謙一郎による「元代々木プロジェクト」

Neoplus Sixten Inc.
1. 6月 2016
Photo by Neoplus Sixten Inc.

 敷地面積29m2、建築面積17m2。木造1階建て。ビルの谷間に生まれた今のところ “謎の建築” 。

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歩道を歩いて近付くとこのように見えてくる。敷地はほぼ直角二等辺三角形で、敷地なりに三角形の平面を持ち、壁2枚、天井1枚だけで成立している建築。

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山手通り沿いで、歩道の拡幅で生まれた変形地と思われ、使い道がなく長年放置されていた敷地を施主が購入し、「何か建てられないかな?」と新関さんに依頼があったそうだ。

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建物の間口は約9mあるものの全面ガラスで、軒高は1.8m程と低め、かつ屋根が後ろへ傾斜しているので物理的には控えめ、なはずだがこの存在感。
敷地目一杯に建っているように見えるが建蔽率は60%。

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中へ入ると直方体の箱がひとつと、背後にハイサイドライトが一筋。以上だ。
 

照明も空調も見当たらない。

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 察しの通り箱の内部はトイレで、その上部にエアコンとサーキュレーター、そしてアップライトが設えてある。エアコンの配管、トイレの換気ダクトは床下を通って外構に通じている。
 

天井の頂点高さは6m。

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階段状に整然と組み上げられた木材はツーバイ材、壁が2×8、天井が2×10。

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 壁2面、天井1面に各100本ずつ、計300本のツーバイ材が積層され、そのまま構造になっている。強度的に相当なスペックだろう。

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軒は30mm角の無垢鉄柱が2本支持している。柱なしでも十分持つが、クリープでほんの少したわんでくることが予測され、そうすると中央のエントランス部分に集中して雨が流れてくることを避けるため。

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軒下には縁側を設けた。周囲には全く腰を掛ける場所はないが、突然街に居場所が生まれた。
ガラスファサードは新関さんにとって初めてだそうだ。

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街を切り取る全面開口。縁側のデッキ材はしばらくすれば退色しグレーになるので、内部がそのまま連続して見えるよう想定されている。

 

緊張感のあるディテールをいくつか。

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外壁の仕上げはスサが練り込まれた樹脂モルタル(ジョイントV)。

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新関謙一郎さん。「形を決めて直ぐに、構造を長谷川大輔さんと検討しました。単なるパネル構造では面白くないので、汎用のツーバイ材を使ってコストを抑えながらユニークなものができました。 "小さいのに大きい” 、 "目立たないが存在感がある” 建築を目指しました。」

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徒歩15分程離れた井の頭通り沿いには、新関さん設計の「OYM」があるので行ってみた。

【元代々木プロジェクト】
設計監理:NIIZEKI STUDIO(新関謙一郎、上島直樹)
構造設計:長谷川大輔構造計画
施工:株式会社 青
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