KAZUYO SEJIMA + RYUE NISHIZAWA / SANAA: Architecture & Environment
妹島和世+西沢立衛/SANAA展「環境と建築」
SANAA, Kazuyo Sejima, Ryue Nishizawa
22. 10月 2021
All photos by Neoplus Sixten Inc.
TOTOギャラリー・間で10月22日から開催の「妹島和世+西沢立衛/SANAA展『環境と建築』」。SANAA及び、妹島和世と、西沢立衛がそれぞれ取り組む最新プロジェクトを中心に構成。当初2020年5月の開催予定であったが、コロナ禍により1年半遅れで満を持しての開催となった。[Exhibition, KAZUYO SEJIMA + RYUE NISHIZAWA / SANAA: Architecture & Environment]
〈展覧会概要〉
SANAAは「環境と建築」というテーマに長年取り組んできた。「金沢21世紀美術館」、「ROLEXラーニングセンター」、「ルーヴル・ランス」に代表されるように、内と外を緩やかにつなぎ回遊性を高めることで、人びとの豊かで自由な交流と、周辺地域との新たな関係の可能性を提示している。建物が媒介となり、人びとの暮らしと環境が織り混ざりひとつの風景となる、そんな建築のあり方を実現している。
TOTOギャラリー・間では、妹島和世の個展を1993年に、SANAAとしては2003年以来2回目の開催となる。
〈About the Exhibition〉
TOTO GALLERY·MA is pleased to present the exhibition "Architecture & Environment" by Kazuyo Sejima + Ryue Nishizawa / SANAA. This exhibition is mainly composed of the latest projects that Kazuyo Sejima and Ryue Nishizawa are undertaking in Japan and around the world.
SANAA has been addressing the theme of "architecture and environment" for many years. As exemplified in their works including the Rolex Learning Center, EPFL (Switzerland, 2009) and the Louvre-Lens (France, 2012), they offer possibilities for rich and free interaction among people and new relationship with the surroundings by softly connecting the inside and outside and enhancing the circulation of people. They realize a way of architecture where the building becomes a medium through which people's lives and the environment are interwoven to create a single landscape. Kazuyo Sejima and Ryue Nishizawa have received numerous awards including the Pritzker Prize (2010) for their architectural work. This will be their second solo exhibition at TOTO GALLERY·MA since 2003, introducing the trajectory of their work from then on by showing not only SANAA projects, but also the works of Sejima and Nishizawa's individual offices. This will be an unique opportunity to have a glimps of the ongoing evolution of Kazuyo Sejima + Ryue Nishizawa / SANAA.
〈展覧会コンセプト〉
私たちは、「環境と建築」ということを常に考え続けてきました。 建築をつくることで境界をつくり出すのではなく、私たちの行為と環境が繋がったものとなるような場所をつくっていきたいと思っています。
本展覧会では「環境と建築」をテーマとして、日本、中国、ヨーロッパなど各地で近年取り組んでいるプロジェクトを中心に、住宅、大学、美術館、劇場などを、模型や図面の展示によってご紹介します。
SANAA・妹島和世建築設計事務所・西沢立衛建築設計事務所の3つの事務所それぞれの活動が、お互いに影響を及ぼしながら、それぞれのプロジェクトで「環境と建築」をどのように考え、実現しようとしてきたのか。また、事務所を始めたばかりの頃から現在に至る過程で、「環境と建築」の捉え方や実現方法がどのように変わってきているのか。
私たち自身も、展覧会を通して新たな発見をできればと思っています。
妹島和世+西沢立衛
〈Exhibition Concept〉
'Architecture & Environment'
We have been constantly thinking about "architecture and environment. "Instead of setting a boundary by creating architecture, we hope to create a place where our work and the environment become connected. Under the theme of "Architecture and Environment," this exhibition will introduce our latest projects in Japan, China, Europe and other countries, including residences, universities, museums, and theaters, using models and drawings.
How have the three offices - SANAA, Kazuyo Sejima & Associates, and Office of Ryue Nishizawa - been perceiving and seeking to realize "architecture and environment" in the respective projects, while influencing each other's work? Also, through the journey from the very beginning /establishment of our offices to the present, how has the way we perceive "architecture and environment" changed? We too are hoping to make new discoveries through this exhibition.
KAZUYO SEJIMA + RYUE NISHIZAWA
3階のギャラリー1ではスタディ模型が並ぶ。できるだけランドスケープに沿うようなかたちで見てもらうため、広く平らな敷地にあるプロジェクトの模型は床に置いてあり、そのイメージを俯瞰で見て欲しいそうだ。作り込みがされている模型は少し上に置いてあり、中を見やすくしてある。
宙に球が浮いているが、床の模型を蹴ってしまわないよう注意喚起のためだそうだ。
4階のギャラリー2では各プロジェクトのディテールや構造の検討模型が並び、中には実寸大の模型も。今回のレポートでは、作品によって3階と4階を同時に紹介していく。
〈House in Los Vilos〉 西沢立衛建築設計事務所、2018、チリ
太平洋に面して突き出す小さな岬の突端に建つ週末住宅。細長い岬の地形に合わせて有機的な連続アーチ屋根が反復し、その下に居場所をつくる。強い潮風と荒々しい地形といった、自然と建築が闘いながらも一体化するイメージを持つ。
〈蘇州獅子山広場系術劇場〉 SANAA、計画中、蘇州
敷地は湖に面し、山を望む公園の中。公園の風景の一要素となるべく、山ひだのような大屋根を掛けた。その下に公園に面した回廊のようなホワイエ、中庭が広がり公園と連続する。
4階には蘇州獅子山広場系術劇場の、内側建物のカット模型。
ホワイエから回り込むようにインナーホワイエ、そして劇場へ連続する。
1280席の大劇場。外から柔らかく連続した移動空間を抜け劇場内へ。
有機的にカーブした反射壁と天井は、客席から舞台へと空間体験として連続することを目指している。
大屋根の構造スタディ模型。
〈O-Project〉 SANAA、計画中
ヨーロッパの小さな街から少し離れた広大な敷地に計画しているホテル。
オリーブ畑が広がり大きな湖を臨む敷地。ヴォールト屋根を地形に沿って分棟配置し、建物と建物の間に庭をつくり、建物と庭が一体となったひとつの大きな建築となり、この地域の水平的なランドスケープの中に浮かび上がる。
4階にはその拡大模型。ヴォールト屋根は4本の柱に支持されたロングシェル。厚さ150mmのコンクリートスラブが最大17mのスパンをとぶ。
この構造形式によって、5.4m×17mの細長い部屋や、10m×12mの庭のように容積が大きいテラスなど、周りの起伏に沿いながら環境に合ったスケールで空間のヴォリュームをつくることができる。
〈ボッコーニ大学新キャンパス〉 SANAA、計画中、ミラノ
敷地はミラノの旧市街の南端に位置し、旧市街からその郊外へと移り変わっていく雰囲気がある。
ミラノの街の中庭形式を踏襲しつつ、平面を湾曲させ互いに近づけたり離しながら配置し、通りに新しい雰囲気を付加。大通りと建物、中庭、公園が柔らかく繋がる。
〈ししいわハウス No.4〉 妹島和世建築設計事務所、計画中、神奈川県
箱根に計画しているホテル。山の中腹で高低差のある敷地に木々が生い茂る。全体に散策路を巡らせるような配置で自然と触れあうことができる場所を目指す。
〈ニューサウスウェールズ州立美術館 シドニーモダンプロジェクト〉 SANAA、計画中、シドニー
3つの異なるレベルに展示室を配置し、展示物とレベルごとに展開される風景を楽しみながら少しずつ降りることができる。
「敷地と建築が複雑に絡み合う様子をのぞき込んで見て欲しい。」と西沢さん。
4階には、エントランスホールの1/1ディテール模型。(高さは省略)
〈Cascade〉SANAA、計画中
〈深圳市海洋博物館〉 SANAA、計画中
2種類のイメージ模型。大鵬半島の山々と海の間にある美しい環境に、雲のような水平的な建築を考えた。プログラムに合わせた大きさの球の空間を組み合わせ、回遊性を持つ自由な動線をつくり、同時に敷地周辺の環境と有機的な関係を持つように配置。建物全体は柔らかな透過性を持つ素材で覆われ、そこに周囲の風景が映し出される。
〈三島のオフィス〉 西沢立衛建築設計事務所、計画中
〈新香川県立体育館〉 SANAA、計画中
当初予定の昨年5月開催であれば展示されなかった作品がいくつかあるが、こちらもそのうちのひとつ。
今回の展示作品で、目玉ともいえるのがこの新香川県立体育館だろうか。4階には構造スタディ模型が並ぶ。
敷地は高松港にほど近い、県民に親しまれる親水公園。既存の多目的広場を囲むように、瀬戸内海に浮かぶ小島のような屋根を掛け、高松駅、広場、体育館、親水公園、港、そして瀬戸内海までが緩やかに繋がってひとつの大きな公園になることを目指した。
メインアリーナとサブアリーナを繋ぐエントランス広場の屋根の構造スタディ模型。
メインアリーナとエントランス広場の接続広場のスタディ模型。屋根のブレースにH形鋼と円形鋼管が混在し、材による見え方の検討もしている。
〈透明な明かり〉 妹島和世建築設計事務所、2019
「フランク・ロイド・ライトへのオマージュ」と題された企画でのフロアライトのスタディ模型。
4階にはその完成作品。
取材記事:「フランク・ロイド・ライトへのオマージュ 2019」
〈Garden Tower〉 SANAA、計画中、アントワープ
高さ80mの高層と、20mの低層の建物が広がるエリアの端に、80mのタワーを10棟に分棟する彫刻のような建築を計画。
4階にはその1/50模型。
〈Puyuan Design and Event Center〉 妹島和世建築設計事務所、浙江省
川の中州のような敷地全体にガラスの覆いを掛けた交流センター。
中庭を目一杯使ったインスタレーションのような模型。
ガラスの覆いをできるだけ細い鉄骨を使ってトラスを組み上げる。ガラス面は内側に張り、構造であるトラスを外側へ。
細かな手作業で創られた1/100模型。部材はステンレスの鏡面仕上げで、周囲を映し出す想定。
構造的に非常にチャレンジングな建築になると説明する妹島さん。
〈Shochiku-cho House〉 西沢立衛建築設計事務所、2015、京都
珍しい住宅の詳細模型。
間口5.5m、奥行き24.5mの細長い敷地。長手方向に二分して、南側を通り庭、北側を居室にした。天井高9mの通り庭全体は光と風を取り入れる装置に。京都の伝統的建築言語を再解釈し、街や歴史と繋がる家を目指した。
妹島和世さんと、西沢立衛さん。
「ここで言う環境とは、敷地周辺の状況や場所のことで、建築がそれら風景の一部となるようにしたいと思いながら設計していますが、3階ではそのイメージ、4階ではそれを実際どのようにして形にするのか、具体的な検討の様子を見てもらえたらと思います。」と妹島さん。
「3階は地形、敷地と建物の関係、4階はディテール、柱梁であったり骨格の部分の関係性などをテーマに展示していますが、それら全ての関係性を地続きに検討していることを見ていただきたい。」と西沢さん。
【妹島和世+西沢立衛/SANAA展 環境と建築】
会期:2021年10月22日~2022年3月20日
開館時間:11:00~18:00
休館日:月曜・祝日、年末年始(12月27日〜1月6日)
入場料:無料、事前予約制 >>予約ページ
会場:TOTOギャラリー・間(東京都港区南青山1-24-3 TOTO乃木坂ビル3F)
詳細:jp.toto.com/gallerma/ex211022/index.htm
Posted by Neoplus Sixten Inc.
会期:2021年10月22日~2022年3月20日
開館時間:11:00~18:00
休館日:月曜・祝日、年末年始(12月27日〜1月6日)
入場料:無料、事前予約制 >>予約ページ
会場:TOTOギャラリー・間(東京都港区南青山1-24-3 TOTO乃木坂ビル3F)
詳細:jp.toto.com/gallerma/ex211022/index.htm
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