武蔵小金井の住宅
Arata Naya + Akiko Shimada / 360°
30. 7月 2024
All Photos by Neoplus Sixten Inc.
納谷新+島田明生子/360°による東京都「武蔵小金井の住宅」レポート。床に大胆な斜めの切れ込みを入れ、さらに斜めの外部空間を大きく穿つことで、周辺環境を積極的に取り入れた豊かな住環境を生み出した。House in Musashikoganei, Tokyo
敷地は東京郊外の住宅地。接道面は西向きで、はす向かいに集合住宅があるためそこからの視線を遮る。1階と2階の質感を変え、ごろんとした切妻のシンプルな塊が浮いているような造形にした。
キャンティレバーの下は駐車場。
南側を見ると2階に大きな開口が設けられているのが確認でき、そこから大樹が覗いている。
東側に回り込むと、隣接する緑地に対してさらに大きく穿たれていることが分かる。そして内側に見えるガラス窓が斜めに配されている。
玄関ポーチ。12mmの鉄板を突き刺したシンプルな庇。
穴の部分にはこの後照明が取り付けられる。
玄関を入ると、1階の対角を壁が横切る三角形の空間が現れた。(黒い扉が玄関扉)
ほの暗い土間空間の上部から光が差し込み、二つの個室が口を開けている。
見上げると吹き抜けになっており、家の中が大胆に斜めに切り取りられている。
右奥がトイレで、左奥が水回り。床はユーティリティ性の高い土間を提案した。
2階からの光は、大きなガラス引戸を介して個室の中まで差し込んでいる。
手前がテレワークの多いご主人の書斎で、左の窓が駐車場で見えたもの。奥は主寝室で小上がりになっており、その下が収納になっている。
隣は子供室。主寝室と同じく引戸は斜めに嵌められた台形平面の部屋だ。
水回り。白一色の内装に直接光・間接光が複雑な陰影を作っている。
背後は家族全員分のウォークインクローゼットとなっている。
浴室は全面FRP防水。ハイサイドライトから借景の緑が覗く。
2階LDK。床にザックリ斜めに切れ込みが入る。
まずこの切れ込みありきで計画を進めていき、その位置とバランスのスタディに時間を費やしたそうだ。
そして天井までの大開口を介して、平面の1/4程が三角形のテラスになっている。1階に収納やプラベートな空間をまとめ、2階はおおらかで性格の異なる二つの空間とした。
サッシュ上部が複雑な納まりをしている。
写真を撮る際、建物のアウトラインに水平を合わせるか、切れ込みに水平を合わせるかで大きく見え方が変わる。
キッチン周りは切妻の断面にきっちり納まる。下にある四角い窪みにAVデッキを設置し、配線は床下を通りリビングの中央付近からスタンド型テレビに接続する。
右手の窓の前辺りがダイニング。
キッチンカウンターの端は奥さまの書斎スペース。外観の塊感を保つため妻面には開口はなく、南側に縦スリットの開口を設け、ちょうど隣家の緑を借景で狙っている。
キッチンから。大胆で明快なコンセプトが理解できる。
切れ込みは東の壁まで到達させたかったが構造上断念せざるを得なかったそうだ。
テラス。既存の家では南側 (右) にバルコニーがあったものの、この豊かな緑に対して積極的に開いてなかった。
反対側を見る。集合住宅からの視線を遮り、南を開き、東の森を取り込み、1階に光を導く。これらを実現させるために斜めの切れ込みが生まれたのだ。
子どもが小さいうちは切れ込みの手摺りと、テラスの手摺りにネットを張るそうだが、南側は手摺りすらなく危険に見える。
そのため横引きシャッターを導入することで、安全を確保したりプライベートな空間を時々に応じて作り出すことができる。もちろん雨戸としても機能する。
シャッターはブラインドのようにブレードが斜めに (少し) 開くので、通気も確保できるようだ。
納谷新さんと、島田明生子さん
「敷地奥に広がる緑を目一杯取り込んだ、シンプルながらも明快なプランです。デザインのお仕事をされているクライアントは、提案時からコンセプトに共感いただき、設計~建設のコミュニケーションの中でも、よりコンセプトがクリアになっていったと感じています。設計者は竣工に近づくにつれ、作品づくりが終わってしまう寂しさが生まれますが、今回クライアントからも同じ気持ちになったとお伺いしたことも、嬉しかった出来事です。」と納谷さんと島田さん。
平面図
断面図
【武蔵小金井の住宅】
House in Musashikoganei
設計・監理:納谷新+島田明生子/360°
構造設計:寺戸巽海構造計画工房
施工:諸井工務店
プロデュース:ASJ
用途:一戸建て住宅
構造・規模:木造、地上2階建
敷地面積:135.27㎡
延床面積:117.42㎡
Posted by Neoplus Sixten Inc.
House in Musashikoganei
設計・監理:納谷新+島田明生子/360°
構造設計:寺戸巽海構造計画工房
施工:諸井工務店
プロデュース:ASJ
用途:一戸建て住宅
構造・規模:木造、地上2階建
敷地面積:135.27㎡
延床面積:117.42㎡
Posted by Neoplus Sixten Inc.