石井秀樹による鎌倉の「仲ノ坂の家」

Neoplus Sixten Inc.
8. 1月 2018
Photo by Neoplus Sixten Inc.
 

敷地面積280m2、建築面積112m2、延床面積140m2。木造2階建て。
黒っぽい "謎の" 外壁材と、焼き杉の塀が印象的だ。

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この日はかなり冷え込んだ。担当工務店がコーヒースタンドを出して来訪者に温かい飲み物を提供していた。
 

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黒い外壁は、リン酸処理亜鉛メッキ板かスレートのようにも見えたが、近づくと見たことのない素材だった。
ケイミューのセメント板を基材にしたサイディング材で、開発中の製品をモニターとして提供されたそうだが、厚さは5mm程度で非常に味わい深い表情。来訪者がまず最初に「これはなんだ?」と質問していた。

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コンクリート洗い出しのアプローチはポーチ状になっており、屋根はルーバーで間接光が落ちている。
右側は自転車置き場。

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アプローチは階段を上りクランクしながらまだ続く。
 

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アプローチの先は吹き抜けの中庭。ここで玄関に到着。
 

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吹き抜けから引戸をくぐり、さらに吹き抜けの玄関。洗い出しの床はここまで連続する。
 

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玄関から右に回り込むと廊下が延び、スタディスペース。左側には2つの子供室と間に書棚。床はここで床暖が備わるコンクリートに変わる。
 

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造り付けのデスクからは先の中庭が望め、勉強するにはちょうど良い優しい自然光が差し込む。
 

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玄関の方へ戻り左へ回り込むとリビングと、その先にダイニングキッチン。
 

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土間から小上がりになったリビングは東西に大きく開口する。
 

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ここで平面図見ていただこう。左側が南で整理された住宅街では、その南面をほぼ全戸が庭として開けているが、この家ではその部分にリビングを配置した。そのリビングの両脇は大開口で、両隣の庭を真っ直ぐ借景、或いは開放的な抜けとして利用することができる。
さらにプランを十字型にすることで四つ角に庭ができるため全ての室が庭に接続する。このプランを隣近所が全て採用したらどうなるだろうか、、、全ての四つ角に2倍ないし4倍の庭が生まれるのだ。

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東西に抜けたリビング越しに、隣、さらにその隣と長大な庭が連続する。

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180cmと低めの開口は、近隣の2階からの視線を緩く遮り、ソファに掛けたときに空が見える。

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特殊な外壁はそのまま室内に連続し、内外の境を曖昧にする。
 

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ダイニングキッチンは十字の一翼に位置し、リビングとは同じ庭を共有する。

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中央の黒いコアの(外だが)内部は中庭。そのコアから十字の各翼に棟木が井桁状に組まれているのが分かる。

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中庭が外であるにもかかわらず、黒いサイディングが室内側にあるため内外が反転したような不思議な光景。
 

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DKの奥から水回りへ。
 

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石井さんが多用する床埋め込みの浴槽は、日常とは異なる景色を演出する。
 

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スタディスペースの奥から。
 

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子供室は鏡像プランで隣り合い、それぞれ別の庭に面して開口する。

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ベッドはハシゴで上がって一つになる。こどもにとってはたまらない演出だ。
 

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2階はご主人の書斎兼趣味室で、トップライトひとつのみの開口。

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石井秀樹さん。「この敷地のように、比較的区画の大きい整理された住宅団地では同じようなサイトプランになりがちです。開発され数十年経ち、建て替えが増えてくる地域でしょうから、この家のようなレイアウトをもし皆さんが取れば、庭を共有するような、より豊かな住宅街にできるプロトタイプとして計画しました。」

【仲ノ坂の家】
設計監理:石井秀樹建築設計事務所
構造設計:野村基建築構造設計
植栽設計:SOLSO
施工:中川工務店

 
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