河野有悟による住宅+集合住宅「Hal Halle」

Neoplus Sixten Inc.
26. 6月 2017
Photo by Neoplus Sixten Inc.

敷地面積277m2、建築面積166m2、延床面積363m2。
この規模の敷地になると3つないし4つの小さな敷地に細切れに分譲されてしまうのが東京の常だが、オーナーはそうはせず、親から受け継いだ土地を守ることを選んだ。

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外部階段により2階のアパート部へ。デッキ張りの共用部は開けており、住人同士のコミュニティが生まれそうだ。

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住人を気持ちよく迎えられるようオーナーは細やかに植栽を手入れしている。

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外観で目を引くのが外壁を取り巻くように設えられた4段のリブ。その間に2列の連窓が配され、2階の部屋にとってはハイサイド、3階の部屋にとってはローサイドライトとなる。また日射や周囲からの視線を抑制し、間接光を生むリフレクターの役目もする。

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3階はC住戸の玄関。ここではリブが玄関扉にも回っている。

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いつも構造にひと工夫入れる河野さん。二つの青いブロックは水回りや収納、PSが納まる機能部分で、それらを内包しながら1階から3階までを貫くコアにして、水平力を全て負担する構造壁となっている。そのコアを包むように各住戸が構成されてている。

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〈A住戸〉はメゾネットで、玄関を入ると二層の吹き抜け現れ、早速ハイサイドの連窓が目に入る。

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左はすぐ隣家が迫るのでハイサイドが効果的。右の扉は水回りだが、周囲が先に説明した構造コアだ。正面はバルコニーとテラスに通じる。

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南側の敷地より数メートル高いため、テラスからは南に向かって視線が抜ける。テラスは対角のD住戸と共用する。世田谷の賃貸アパートで、これだけ空が開けたテラスはなかなかないのではないだろうか。

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テラス南側から北側を見る。

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3階へ。踏面も含めてトラス構造の階段。

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3階では採光はローサイドに切り替わる。
奥は道路斜線により天高が抑えられロフト空間に。ロフトの天井面に合わせて階段室に垂れ壁を設えた。

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黒い方立はサッシュも一緒に見えているので太く見えるが、方立自体は60×90と細いもので垂直過重のみを支持している。内側の構造コアを採用したことで可能になった開放性だ。施工中、細い方立を見て大工さんが「こんなに細くて大丈夫?」と驚いていたというが、それだけ強靱なコアが支えているのだ。

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2階の〈B住戸〉と、3階の〈C住戸〉はワンフロア。平面の対角に構造コアが位置しているため、居室は雁行したレイアウト。
こちらは2階なので採光はハイサイド、、、

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こちらは3階なのでローサイドから。

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キッチンを挟んだ反対側の部屋も比較。こちらが2階。

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3階。

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〈D住戸〉もメゾネット。ここだけコアにキッチンが納まる。

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二重の連窓がつくる独特の空間。

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1階オーナー住居へ。引越の真っ最中のため全ては紹介できないが、接道側ガレージに挟まれた趣味室へのアプローチがある。

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エントランスから奥にはホワイエが現れ、ホワイエを介して趣味室へ。右側には南の庭へ通じる外部通路がある。
中央の扉がある四角い趣味室のボリュームは実は防音室で、全周囲が居室へ接しないように独立した空間になっている。上は2階のテラスだ。

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通路で挟んで隔離した趣味室(防音室)は上部にも隙間があり、風や光を導くことができる。

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趣味室はちょっした演奏会なども開ける本格的な防音室だ。

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居室でのワンカット。東京松屋(上野の本社ビルを河野さんが設計)の雲母引き "江戸から紙” を貼った引戸。
「お施主さんは自然エネルギーを利用し蓄電させ、住民同士でシェアできるような、エネルギーの自給自足を近い将来目指しています。と同時に空間もシェアしながら、住み手のコミュニティも生まれる言わば “エネルギーと生活の場の共有” を実現できるような建物を望まれました。」と河野有悟さん。

【Hal Halle】
建築設計:河野有悟建築計画室
構造設計:長坂設計工舎
設備設計:Comodo設備計画
施工:ウルテック

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