駒田建築設計による港区の住宅「TRANS」

Neoplus Sixten Inc.
8. 7月 2016
Photo by Neoplus Sixten Inc.

敷地面積42m2、建築面積29m2、延床面積77m2。RC造3階建て。
建物の間口は約二間、奥行きは約7.7m、準工業地域のためご覧のように隣家が密着。この条件でどのように “快適” さをかたちにしているのか楽しみだ。

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接道も非常に狭いためセットバックも求められた。そのため(いつかなくなるかも知れないが)前庭を設けることができた。
防火地域でもあるため現実的にRC造を選択。接道の向かいにもRC造の住宅が建ち並んでいる。

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玄関を開けると打ち放しコンクリートと、ラワン材の建具のみのシンプルな表情、頭上に吹き抜けとスチールの階段が現れた。
奥へは廊下を介して寝室、水回りと続き、右手の扉はトイレへ。

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廊下を奥まで進んで水回りから見上げると、こちらにも吹き抜けと階段があった。
左が浴室、正面に洗濯機。

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浴室からは大きなフレームのような開口で、奥まった水回り空間を開放的にした。

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玄関扉を閉めると玄関ホールの光量は抑えられているのが分かる。2階へ上がるとどうだろうか。

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2階には全く別な空間が現れた。3階天井までの細い吹き抜と、その先は全面のトップライト。というより狭い路地の上に、ガラスの屋根が掛けられているという印象。

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間口二間しかない空間を大胆に壁で分割。小さな街並みのような空間をつくり出し、いくつかの小さなスペースを設け、南北二つの階段で連続させた。

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駒田さんが路地を歩いているように見える。”路地” の幅は1.3m、高さ6.1m。こちら “室内” 側は幅1.9m、高さは2.8m。

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”路地” 側にソファを置き、“室内” 側にテレビを設置する。

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一体型のキッチンとダイニングは、構造でもある仕切り壁をまたいで設えられている。
仕切り壁は鉄筋コンクリートの構造壁としては最薄に近い120mmにし、幅のない空間で見た目に重くならないよう配慮した。

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ステンレスのシンクはフランジがなく、端面で天板と面一にしてあり非常にスッキリとした表情になっている。

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1.3mの ”路地” に天板をどの位出すかはかなり悩んだという。
見学は同業の建築家が非常に多く、「幅1.3mの空間が本当にあり得るのか体験しに来た」、「誰かがやってみないと自分では恐くて設計できない」、「この空間にこのDKは発明だ」、などの驚きと感心の声が多数聞こえた。

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スチールの階段は通常工場で製作したものを現場で据え付けるが、狭いため、側桁や踏面の鉄板を一枚ずつ現場で溶接して製作した。しかも裏から見てもビード(溶接跡)が出ないよう一手間かけた仕事がなされている。

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3階は夫妻の個室。手前が奥さまで、奥の階段から上がってご主人の部屋がそれぞれある。
夏場の日差しが心配になるが、、、

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ご覧のようにスクリーンカーテンが手動で開閉できる。

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グレーの壁と白い壁は別な建物で、その間に路地があるように見える演出。人が多いと街の路地を行き交う人々の賑わい然とした光景が現れた。

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奥さまの部屋。奥を見ると屋上へ上がる外部階段を挟んで、ご主人の部屋へ間接的に連続している。
分けながらも全て通じているのだ。

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アーチ型窓にはガラスがはめ込まれ、階段室の吹き抜けには木サッシュの引戸、床はモルタル、壁はブルーに。

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対してご主人の部屋は矩形の窓が二つで片方にはガラスがはめ込まれ、もう片方は外開き窓。床はフローリングで壁は緑と、夫婦で趣向が異なる。
3階の二部屋は1階の寝室とは別で、夫婦それぞれの趣味の部屋になる。

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屋上にはコンクリートで作り付けたベンチが設えてあった。

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駒田剛司さん、駒田由香さん。(1.3m幅に座るのは3人では窮屈なのがわかる)
「小さな個室が3つ、それと生活に必要な要素をこの敷地内でどう繋ぐかを考えました。間口二間を敢えて壁で隔てることで、様々なスケールと距離感が織り込まれた二人のための街が生まれました。」「1.3m幅はチャレンジでしたが、どうしても窮屈な空間を、思い切り上に抜くことで成立させることができたと思います。」

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