蘆田暢人による横浜の住宅「キールハウス」

Masato Ashida, Neoplus Sixten Inc.
27. 11月 2017
Photo by Neoplus Sixten Inc.
 

敷地面積131m2、建築面積58m2、延床面積103m2。軒が少し張り出した切り妻ボリュームの棟に、何か四角い箱が乗っている。
 

Photo by Neoplus Sixten Inc.
 

箱はそのまま棟に沿って屋根の上を横断しているようだ。
また敷地は西向きの崖地で、東側の接道から2mほどの高低差を持っている。一度グランドレベルまで降りて1階からのエントリーも可能だが、1階を半地下状に下げたため、2階からのエントリーとした。

Photo by Neoplus Sixten Inc.
 

玄関から鴨居をくぐるとボックス部分が、作品名であるキール梁になっていることがわかった。
 

Photo by Neoplus Sixten Inc.
 

このキール梁が主構造となり建物を支えているため、柱のないワンルーム空間を可能にしている。
キール内部は南北にハイサイドライトが設けられ、一部が排熱用に開閉する。

photo: 蘆田暢人建築設計事務所

建て方時の様子。存在感たっぷりのキール梁が耐力構造として構成されているのが確認できる。
 

Photo by Neoplus Sixten Inc.
 

キールは本来船舶用の構造。キールから伸びる垂木が肋材のようで、正に船底を思わせる。
南北には隣家が迫るため壁面への開口は期待せず、ハイサイドからの採光とした。

Photo by Neoplus Sixten Inc.
 

ダイニングとキッチンは一体で、舞台のような位置にある。
 

Photo by Neoplus Sixten Inc.
 

ダイニングからの景色はこのように見える。大きなサッシュにすればもっと遠景が望めるが、この位置からはここまでに留めるようにした。
 

Photo by Neoplus Sixten Inc.
 

自宅で仕事をすることも多いご主人の仕事場を2階の奥に設けた。

Photo by Neoplus Sixten Inc.
 

1階リビングに降りたところで、バルコニー越しにようやく緑と空が広がるを眺めることができるよう敢えて2種類の眺望を用意した。雲間に富士山も見える。

Photo by Neoplus Sixten Inc.
 

1階はこのようにスキップしている。階段は外を眺めたり居場所になれるよう座面を設けた。仕事場の下は収納に。
右下の格子の奥に1階が覗いている。

Photo by Neoplus Sixten Inc.
 

隣家に比べ崖からセットバックしている。その分広いバルコニーを設けた。

Photo by Neoplus Sixten Inc.
 

子どもは左奥の玄関から帰ってきて、DKのお母さん、仕事場のお父さんに「ただいま!」と声を掛け、リビングを抜け、1階の子供室にランドセルを置きに行く。といった家中を巡るような日常が想像できる。

Photo by Neoplus Sixten Inc.
 

1階。右にトイレ、水回り、奥に納戸と続く。
 

Photo by Neoplus Sixten Inc.
 

水回りの前から見る。2階リビングを介して外光が差し込んでいる。さらにスキップで降りたフロアは、主寝室を中心に子供室を左右に配置した。

Photo by Neoplus Sixten Inc.
 

1階が半地下になっているため、これらのスキップフロアが生まれた。

Photo by Neoplus Sixten Inc.
 

主寝室。窓の外はバルコニーの下にあたり、直ぐに地面と借景の緑が見える。
 

Photo by Neoplus Sixten Inc.
 

トイレ横の扉から外へ出ると、接道側に作った納屋へ通じる。
 

Photo by Neoplus Sixten Inc.
 

納屋内部は擁壁がそのまま見える。上を駐車場にするためにできた余白だ。
 

Photo by Neoplus Sixten Inc.
 

蘆田暢人さん。「崖の上で道路より下にある敷地に対して、構造的安定性を得るために建物の半分を深基礎としたことで生まれた床の段差と、梁せい910mmのキール梁によるワンルーム空間によって、それぞれの居場所がつながっていくような一体的な空間をつくりました。みんなで過ごす時間の多いご家族のかたちを空間の構成に実現できたのではないかと思います。」

【キールハウス】
建築設計:蘆田暢人建築設計事務所
構造設計:村田龍馬設計所
施工:栄港建設

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