鬼丸さんの家

Taketo Nishikubo / Niko Design Studio
9. 3月 2023
All photos by Neoplus Sixten Inc.
西側の接道から10m以上入り込んだ旗竿敷地だが、4mの竿部分に広く面して、且つ半分は自分の敷地。広く長いアプローチに対して、2つの半アーチが人を迎え入れるキャッチーな佇まいで、東や南には集合住宅が建つので、中庭と、西のアプローチに向かって開いている恰好だ。
2つのボリュームを渡り廊下のようなボリュームで接続した「コ」の字型平面。ヤマボウシが植わる中庭とピロティが連続した空間をもつ。
左右のボリュームそれぞれに玄関扉が付いているので、まず右の扉から中へ。
中は奥様のアトリエとなっていて “離れ” のような扱い。光量の少ない空間で創作活動に没頭できる。
奥の壁には施主とニコ設計のスタッフで和紙を貼って仕上げた。左奥からは2階に上がれるようだが、あとで紹介する。
一度ポーチへ戻って “母屋” へ。コンクリートのベンチが設えてあり、半屋外空間を楽しむことができる。
玄関から。先のアプローチや中庭の雰囲気がそのまま家の中に再現されたような空間。円弧を描く壁が向かい合い、先が見通せない廊下を生み出している。
奥へ進んで見返す。大木の間を抜けるイメージだそうだ。天井はラワン材をグリーンに染色した。
左はウォークインクローゼット、右が寝室、右手前が書斎となる。
寝室からは縁側を介して中庭を望むことができる。
壁の仕上げは砂入りAEP塗料。
書斎のさらに奥は水回り。
ニコ設計室の住宅では施主が選んだ壁紙がしばしば個性的な空間へと演出する。壁紙はテシード。
ほの暗い1階から階段室を見上げると、光が差し込んでいた。
2階LDK。明るい日差しはトップライトからだった。
ニコ設計で多用する土間のようなキッチンと、小上がりでダイニングのベンチを兼ねるリビング。1階の書斎にも見られた無垢板のテーブルと、無垢の大黒柱。しかし大黒柱に見えるが構造上はなくてもいいそうで、求心的なオブジェクトとして空間にメリハリを生み出している。
キッチンから。DKはニコ設計から提案したレイアウトで、リビングとは曖昧で一体となりながら、大きなテーブルの周りにいつも子どもがいられるような雰囲気とした。
敷地東の境界は斜めなので、3枚の壁を雁行させ、壁の間にスリット窓を設け光を取り込んでいる。
複雑な屋根面は、きっちり整理せずあえてずらした設計とすることで曖昧な空間が生まれる、と西久保さん。
古建具を用いたり、抑えた色彩で古民家の雰囲気。そして所々差し色を入れている。
奥の若草色の空間はパントリーで、さらに奥が家事室。
小上がりリビングの角にも無垢板のデスクが造り付けられ、掘りごたつのように足を下ろせる。
こちらの壁も砂入のAEP塗料。
家事室は “サンルーム”とも呼んでいる。物干しバルコニーと、梯子であがるとロフトへ。
ロフトは両側に開きトップライトからも光が差すので明るく使い勝手も良さそうだ。
リビングの先のインナーテラスは玄関ポーチの上にあたる。
奥は子供室で、左の階段から最初のアトリエへ降りられる。
全開にできるも完全に屋内空間なのだが、折れ戸であることや、床もフローリング材ではなくデッキ材を用い、壁は外壁と同じ仕上げが入り込んでいるなどの操作で、バルコニーにいる感覚になる。使い勝手の広がるユーティリティ性の高い空間だ。
子供室。カラフルな色使いで立体的な構成。造り付けの二段ベッドや奥の部屋など、今後どう使うかは施主の自由だ。
【鬼丸さんの家】
設計・監理:ニコ設計室
構造設計:桑子建築設計事務所
施工:宮嶋工務店

用途:住宅
構造・規模:木造2階建て
敷地面積:139.4 ㎡
建築面積:56.3 ㎡
延床面積:106.9 ㎡

Posted by Neoplus Sixten Inc.

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