神田篤宏+佐野もも/コンマによる世田谷の住宅「隙間の家」

Neoplus Sixten Inc.
26. 8月 2017
Photo by Neoplus Sixten Inc.

敷地面積72m2、建築面積49m2、延床面積90m2。木造2階建て。
南側の妻面にはウッドデッキと、2階にベランダも見える。

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路地に対してかなり開いているように見えるが、中からはどのように感じられるだろうか。中央のガラリ、2階の手摺付き窓、越屋根、外壁の色など、どこか懐かしさを感じる佇まい。

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昼間では分かりにくいが、外から架構が見え隠れする。

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玄関を入ると様々な木の部材が出迎える。右に水回り、トイレが並ぶ。

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玄関から左を向くと2階天井まで吹き抜け空間が現れた。
廊下を進むと左にキッチン、奥にLD、階段下が収納となる。

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リビング・ダイニング。デッキと連続する内縁側が使い勝手良さそうだ。縁側やデッキにより生まれた中間領域を介して、街に開き、街が屋内に入り込んでくる。左の開口には障子が設えられ、日常的なプライバシーを確保している。

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障子の外側は “隙間” があり、ここも縁側のようになっている。この隙間が街へ開きつつもダイレクトになりすぎないバッファーとなっているのだ。

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壁が厚く見えるのは耐火被覆された架構が中に収まっているため。その内側に現しの架構が見えているという二重の構造だ。

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耐火被覆された架構。(国土交通省告示第861号による耐火構造)

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こちらが現しの架構。

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二つの架構が入れ子状に納まった様子。もし火災に見舞われ現し部分が焼け落ちても、耐火被覆部分は残り、崩壊しないということだ。(3点共コンマ提供)

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改めて見てみるとよく分かる。中央の柱は架構を強調するようにあえて空間の中にせり出し、耐火と現しの架構それぞれが分離しているかのように "隙間" が至るところに生じている。

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1階は、殆どの壁の上に欄間が設けられ、2階と光や風が通じる “隙間” になっている。

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飛び出した柱はキッチンにも(右)。キッチンは使わないときは閉じておきたいという奥さまの希望で、DK側に開閉式の窓を設えた。

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2階には不思議な空間が現れた。初めて訪れた建築であるに関わらず、懐かしさと共に、古い記憶を蘇らせようと脳が働き始めた。

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そして肘掛け窓に座り外を眺める、、、とくれば「旅館」だ。(旅館のように設計したわけではない)

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この踊り場は床を下げて作ったというより、一階の天井を下げて生まれた空間。1階の欄間(隙間)からウッドデッキ側からの光が差し込み、左側の欄間からはキッチンも覗く1・2階が連続した空間になっている。
正面には主寝室と小さな和室。

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主寝室。ここでは腰壁を設え、外部からの視線をコントロールした。

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左手前は畳がまだ敷かれていないが和室で、必要な時だけ間仕切り、小さいながら客間として使える。

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街路側の隙間は吹き抜けになっている。

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子供室はかなりオープンに。

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断面状に見ると4方がそれぞれ独特の表情をみせてくれる。

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越屋根は採光と排熱のために、建築エンジニアリング会社にお勤めのご主人の要望で計画された。

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子供室の奥には納戸兼作業室。

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佐野ももさん、神田篤宏さん。「準耐火建築物とする必要のある地域でしたが、お施主さんが、木を身近に感じる建築を望まれており、木の架構をあらわしとしました。そのため分厚く耐火被覆された架構と、現しの架構の二重の構造になりましたが、構造同士の隙間を利用しながら外に向かって大きな穴を開け、街並みとのいわば『腹を割った関係』をつくる住宅としました。」

【隙間の家】
設計監理:コンマ, 一級建築士事務所comma
構造設計:小山内博樹
施工  :株式会社広橋工務店

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