藤原徹平によるコーポラティブハウス「代々木テラス」

Neoplus Sixten Inc.
2. 2月 2017
Photo by Neoplus Sixten Inc.

敷地面積344m2、建築面積204m2、延床面積750m2。RC造+一部S造、地上3階、地下1階。東西に長い旗竿敷地に建つ。

Photo by Neoplus Sixten Inc.

旗竿敷地ということで隣地が密集しており全体の引きは撮れなかった。
このプロジェクトでは各住戸への動線、通風、採光をどのように計画していくかが大きな課題となり、玄関は地下、1階、2階とまちまちで、外観からは伺い知れない複雑な住戸割りがなされている。

Photo by Neoplus Sixten Inc.

南側と北側に2ヶ所ずつ計4ヶ所にセットバックさせたスリットをつくり、採光率を満たしながら建物全体に変化と距離感を生み出している。

Photo by Neoplus Sixten Inc.

左が構造模型、右が住戸割りの概念模型。建物はスリットによって3つに分棟されているように見える。分棟によって建物のボリューム感を抑え、近隣への圧迫感を軽減した環境づくりにも貢献する。

Photo by Neoplus Sixten Inc.

構造的には両サイドの棟で南北方向を支え、中央の棟の中心に東西方向を支える耐力壁を設けることで、南北に広く開口できるようになっている。9住戸中8住戸は中央の棟に接し、出来るだけ等価に環境をシェアできるようになっている。

各住戸を紹介。藤原さんは建築の全体像がぶれないようにディレクションしながら、基本的にインフィルは各担当に任せながら進めたという。
 

はじめはフジワラボが担当した3住戸。

Photo by Neoplus Sixten Inc.

〈D住戸〉 フジワラボ
1階には寝室が二つ。南北、東西共に大きな引戸で空間が抜けるようになっている。

Photo by Neoplus Sixten Inc.

地下は南北のドライエリアに挟まれるように連続し大きなワンルーム空間でLDKをつくった。
手前は浴室もガラスで囲み、ワンルーム感を形成している。

Photo by Neoplus Sixten Inc.

ドライエリアは、隣と低めの壁と植栽で緩く間仕切られ、ほぼ共有スペースの雰囲気に。

Photo by Neoplus Sixten Inc.

〈F住戸〉 フジワラボ
右に見えるのが東西を貫く耐力壁。LDと奥の寝室は南面を存分に享受できる計画としている。

Photo by Neoplus Sixten Inc.

スリット部分をなぞるように「凹」字型に開口が設けられている。左にキッチン。

Photo by Neoplus Sixten Inc.

天井は東西の棟に向かって40cm低くなり、空間に抑揚を与えた。

Photo by Neoplus Sixten Inc.

〈H住戸〉 フジワラボ
「北側はヒマラヤスギが並んでいますので借景で利用します。耐力壁に向かって、収納やキッチン、トイレなど全てを接し、北側の全面開口を活かしています。収納内にはワークデスクも隠れています。」と岩井一也さん。

Photo by Neoplus Sixten Inc.

和室、キッチン、DKと一直線のレイアウト。

Photo by Neoplus Sixten Inc.

3階に寝室と水回り。水回りも壁に寄せ外部開口を広く取った。
3階に部屋がある4住戸は、右のように屋上へ出ることができる。

Photo by Neoplus Sixten Inc.

〈A住戸〉 針谷將史建築設計事務所
1階は母と娘の「女子部屋」、写真の地下はDKとその奥に父と息子の「男子部屋」というレイアウト。

Photo by Neoplus Sixten Inc.

「男子部屋」押し入れ型の2段ロフトが並ぶ(右にもう一つ)。下段が収納で、上段が “寝室” になっている。

Photo by Neoplus Sixten Inc.

〈B住戸〉 針谷將史建築設計事務所
「インテリアの要素を極力ミニマルにすることで、エントランスから地下空間までの連続性と一体性をキープすることを考えました。地下のドライエリアが一箇所の住戸でしたので、光が十分まわるように、間仕切壁を設けずシンプルなワンルームとしています。」と針谷將史さん。

Photo by Neoplus Sixten Inc.

〈I住戸〉 針谷將史建築設計事務所

Photo by Neoplus Sixten Inc.

3階はH住戸と同じく北側に全面開口。凹凸を利用して、キッチン、ダイニング、リビング、寝室を緩く分節し、どこにいても家族の気配が感じられる空間とした。

Photo by Neoplus Sixten Inc.

寝室エリアはベッド2台がぴったりと納まる囲いを腰壁のような家具で作った。

Photo by Neoplus Sixten Inc.

キッチン。

Photo by Neoplus Sixten Inc.

〈C住戸〉 本瀬齋田建築設計事務所

左がC住戸だが、ドライエリアに異なる二つの住戸が覗く。

Photo by Neoplus Sixten Inc.

Cは1階の中央棟北面を占めるため、外部のアプローチに対して正対する。
HやIとの違いは東西を貫く耐力壁が一部開いており、南北に空間が連続することだ。

Photo by Neoplus Sixten Inc.

南側には主寝室や収納。

Photo by Neoplus Sixten Inc.

手前のベッド側をカーテンで隠すことができるので、間の引戸を開放し南北を連続的に活用することが出来る。

Photo by Neoplus Sixten Inc.

2階はリビングと、

Photo by Neoplus Sixten Inc.

子供室。
かなり隣家が迫るが、視線を遮ることよりも解放感を優先させた。実際はブラインドを設えるそうだ。

Photo by Neoplus Sixten Inc.

〈E住戸〉 本瀬齋田建築設計事務所
地下へ降りて、引戸を開けるとすぐキッチンだが、筆者右手に扉がありこちらが玄関となる。

Photo by Neoplus Sixten Inc.

階段によって南北を仕切り、奥が将来的な子供室。

Photo by Neoplus Sixten Inc.

右手の界壁は杉板型枠を選択した。
階段を上がると1階には寝室と水回りがある。

Photo by Neoplus Sixten Inc.

〈G住戸〉 本瀬齋田建築設計事務所
2階に個室と水回り、3階にLDKをもつ。

Photo by Neoplus Sixten Inc.

2階多目的スペース。

Photo by Neoplus Sixten Inc.

3階はLDK。跳ね上がった天井が西新宿の景色を取り込んでくれる。

Photo by Neoplus Sixten Inc.

「建物全体のコンセプトとして、屋上の有効利用があります。お施主さんもこの考え方に賛同して頂き、屋上に近い3階部分を家族のスペースにして屋上を沢山使いたいということでした。そのため3階に家族の集まるLDKを置き、2階は多目的なスペースとして、生活の変化やお子さんの成長によっては区切ることのできる自由なスペースにしています。」と本瀬あゆみさん。

Photo by Neoplus Sixten Inc.

屋上へは4住戸からのみ上がれ、東京の絶景を眺めることができる。四方の角にそれぞれの専有スペースをもち、中央に共有スペースと緑地があるので、住人同士で話し合いながら管理していくことになる。
ちなみに募集はあっという間に埋まってしまったそうだ。

Photo by Neoplus Sixten Inc.

藤原徹平さんとご家族。「スカイツリー!」とポーズを取る、さすが建築家のお子さん。
「文化と歴史を併せ持った代々木という『土地』に暮らす住居のあつまりを計画しました。単に上下に積まれたメゾネットではなく、X状に交差し住戸同士が交わることで住戸内にシークエンスをつくります。敷地内をあちこちへと移動するシークエンスのなかに暮らす住居です。9つのシークエンスが編みこまれるようにして代々木テラスはつくりました。」

【代々木テラス】
建築設計:藤原徹平+岩井一也+堀江優太/フジワラテッペイアーキテクツラボ
インフィル設計:針谷將史/針谷將史建築設計事務所、本瀬あゆみ/本瀬齋田建築設計事務所
プロデュース:アーキネット
構造設計:小西泰孝建築構造設計事務所
施工:TH-1

【関連記事】
「TOTOギャラリー・間 30周年記念展/アジアの日常から」レポート
深谷の専門学校「AOI Medical Academy」の新校舎
7組の建築家による「MAKE HOUSE 木造住宅の新しい原型展」レポート
店舗兼集合住宅「表参道の立体居」

このカテゴリ内の他の記事

蓮山居
1 week ago
宮前の家
2 week ago
根津のすみ
2 month ago
弦巻の三角
on 2023/12/28
Villa A
on 2023/11/29