川添善行による「東京大学総合図書館新館計画:アカデミック・コモンズ」

Neoplus Sixten Inc.
14. novembro 2016
Photo by Neoplus Sixten Inc.

見学ツアーの前に川添善行さんや清水建設の担当者からプロジェクトの説明をしていただいた。

既存の総合図書館(本館)と噴水広場。
当初の図書館は関東大震災で消失し、現在のものはロックフェラー財団の支援で1928年に再建した(設計:内田祥三)。その貴重な建物は保存しながら耐震補強を含む全面改修が行われる。

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上部から見た噴水広場。ご覧のように周囲に建物が隣接。限られた敷地を最大限利用できるようニューマチックケーソン工法によって行われる。

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ニューマチックケーソン工法は、地上で躯体を少しずつ造りながら同時に地下を掘削し、次第に躯体が自重により地下に沈設していくというもの。通常は橋脚や防波堤、建築物の基礎を造る際の土木技術で建築物に用いるのは稀だそうだ。
川添さんが指している部分が地下1階のライブラリープラザで、その下に天高11mの自動化書庫が3層、全体で46m掘削した。

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地下には地下水が噴き出さないように圧力を掛けた機密作業室を作り、天高数メートルの中を平たい特殊なパワーショベルで掘り下げていく。
深度が深まるにつれ圧力が高くなるので、途中から無人での遠隔作業に切り替えられる。

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外観の完成予想図。

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地下1階 “ライブラリープラザ” は、学生や研究者がグループ学習や発表会などのかたちで対話や議論ができる新しい知の形式となることを目指す。
天井には共鳴を抑えながら、程よいざわめきを生むよう杉材で放射状のルーバーをつくる。杉材は東白川産のものを時間を掛け葉枯らしさせた材を使う。
冷暖房には輻射パネル式と、全面床吹出し空調システムを採用し風のない空調環境になる。

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 説明を聞き終え現場へ。右の黒い建物は仮設書庫で、本館の改修をする際、蔵書を一時的に保管するために造られた。下は新館建設のための大型車が通れるようになっている。

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 本館正面(北側)。

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ロッジアを形作るアーチも近くで見るとかなり劣化しているのがわかる。

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 ちなみに安田講堂のファサードも劣化が進んでおり修復が待たれる。

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 地上部とその下には地下1階 “ライブラリープラザ” が露出している。

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スラブや噴水の配筋が佳境を迎えている。
右手に本館、正面は大谷幸夫設計の文学部3号館。

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 地下1階 “ライブラリープラザ”。円形で700m2ある。

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中央の噴水底面には80mmのアクリル板が張られ、波のきらめきを持つトップライトになる計画。

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 模型。200名ほどのキャパを予定している。

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 本館地下も露出し基礎や柱の補強が行われている。工事初期は旧図書館の基礎や、加賀藩上屋敷の遺跡が出土し、保存・再利用も行われている。

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 今だけ見える地下からの本館見上げ。本の背表紙が並ぶ様子がモチーフだとか。

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 右はケーソン外皮の止水鋼板。厚さ6mmの鋼板を隙間無く全面溶接し、地下環境において200年の耐久性を想定している。
ケーソンの厚さは地下4階で2m。硬化熱によるひび割れを防ぐためスランプ12の高密度コンクリートを使用し、長寿命化も計る。

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 さらに地下へ。

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 地下中2階から、地下2階の書庫を見下ろす。この後巨大な書架やスタッカークレーンが搬入されるので、スケルトン状態を見ることができるのは今だけだ。

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左がケーソン、右が書庫の内壁。階が深くなるにつれ(ケーソンが厚くなる分)狭くなるが設備やメンテ用のバッファゾーンが設けられている。

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地下2階。天高11mを10本の柱が支えている。
天井ぎりぎりまで書架スペースを取るため、空調のダクトが扁平している。

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 この空間に100万冊を収蔵。同様の空間が地下3階、4階にもあり計300万冊を収める。

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貸し出される本は、1冊ずつではなく、何冊かがまとまった樹脂製のコンテナに載って、この搬送口から出入りする。
オーダーした本が手元に届くまでの所要時間は3~5分程。

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模型で見る書庫1層分。平らな面が書架。

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見学会の案内をして頂いた皆さん。清水建設の安中健太郎さんを挟んで、川添研究室の(左から)草野充子さん、神本豊秋さん、川添善行さん、辻昌志さん。

新設のライブラリープラザや自動化書庫は2017年7月からの運用予定。
本館改修後完了は2020年を予定。

【東京大学総合図書館新館計画:アカデミック・コモンズ】
http://new.lib.u-tokyo.ac.jp/

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