横浜高等学校 4号館

SALHAUS
26. abril 2022
All photos by Neoplus Sixten Inc.
春夏合わせて甲子園出場35回、優勝5回を誇る言わずと知れた野球の名門校。1942年の設立以来男子校であったが、2020年の共学化へ向けて、且つ校舎老朽化のため2016年より改修計画が進められており、その設計をSALHAUSが担当してきた。
当初、共学化による女子トイレと更衣室の設計を依頼されたが、それをきっかけにその他の改修設計を依頼され、SALHAUS側からも適切な提案があったことから、校内全域の改修計画を6期に渡って手掛けることとなり、現在7期目が進行している。今回の4号館は6期目、初めての新築工事となった。
こちらのグラウンドも人工芝に張り替え、アプローチも再整備。正面の体育館や右手の本館など外壁を横浜らしい赤レンガ(タイル)で仕上げた。京浜急行を利用するひとからは刻々と学校の表情が変わっていくのが見えたことだろう。
ちなみに野球部のグラウンドは少し離れた別の場所にある。
全体模型。右のグラウンドに面して2期工事の体育館・本館(外壁のみ)・2号館。左に曲って1期の1号館、3期の3号館、4期の学生会館、5期が1号館向かいの高校棟A/B、そして今回6期で竣工した4号館が左端に見える。
4号館を軸にしたマスタープランが検討されており、7期では中学棟の改修をして、さらに今後老朽化した校舎を立て替えていく長期計画になることが想定されている。
奥へ進むと桜の大樹が迎え、さらに奥に4号館が見えてくる。
4号館。4階建ての校舎ほぼ全てが引違い窓で開口が広く、全周を高耐食メッキ鋼板で仕上げられたバルコニーが巡らされている。
1階の左奥に見える渡り廊下を介して既存の3号館に接続。校舎の中央に昇降口がある。
こちら1期で手掛けた1号館の改修(腰壁のない大開口)からそのコンセプトが引き継がれているのが伺える。
2層吹き抜けの昇降口はエントランスホールともいえる。中央で左右に廊下が延び、正面を抜けると新設のテニスコートへ通じる十字型の動線。
下足のまま校舎内に入れるので下駄箱を並べる必要がなく、居場所となる家具が設置できる。こういった家具はこの後随所に現れる。
家具の上には内覧会向けに校舎の模型が置かれている。
改修計画で一貫して進めてきたのは内装の木質化と開口の拡大だ。
共学化によって被服教室と調理教室が左右に新設された。
そして居場所を沢山作ること。トイレ・更衣室前にも。
エントランスホールにも居場所。
2階は十字型動線の短手方向にはラウンジが配されている。
2階の廊下は床にも木を使った。
2階には複数のラーニングスタジオを配置。ラーニングスタジオは普通教室や特別教室とは異なる、クラスや教科に紐付かない教室で、専門的な授業のほか文化系の部活動でも利用できる部屋が並ぶ。
サイエンススタジオは科学部などの利用も考慮されている。天井のデザインが部屋によって異なり個性を持たせてある。
ダンススタジオだが、ダンス部の練習スペースとして使えるように鏡張りの壁を持ち、さらに引き戸を開放してラウンジまでスペースを広げることができる。
ひな壇席をもつシアタースタジオは2層吹き抜け。視聴覚室としての利用や、段を使った吹奏楽の発表などにも。
将来、教育や生徒の活動がどのように変わっていっても、フレキシブルに対応できるように全体が計画されている。
シアタースタジオの前もラウンジで、ベンチなどが置かれ居場所となる。
ラウンジはテラスへ連続し、外部の居場所として利用される。
3階へ。コンクリートの階段室に手摺りで差し色を入れた。
3階と4階は普通教室が配され、この春(2022年)から3年生が利用している。
共学化して3年目を迎え生徒数は4年前の3倍に、そして生徒数は女子の方が多いという。女子が集まる理由として、改修による雰囲気の変換が大きいだろう。
シアタールームは3階の廊下からも外のテラスからも見える。
既存校舎の改修でも進めてきて高評価を得ているコモンルーム。
自習や歓談のほか昼の弁当派には非常に重宝されるそうだ。人工芝化したグラウンドでもピクニックのように弁当を食べる生徒も多いとか。
4階コモンルーム。
コモンテラス。SALHAUSでデザインしたベンチが置かれるそうだが、この日はまだ見られなかった。
次に、既存校舎の改修箇所を特別に案内していただいたので紹介。
学生会館の食堂。中の改修とこちらのようにテラス席とパーゴラを設けた。建具は全開にでき、テラスに向かって開放的な食堂にできる。
1号館エントランスホール。こちらも下駄箱を廃して居場所に。
1階コモンルーム・ラウンジ。余剰教室を整理して学生同士のコミュニケーションを育む場を各階に設けた。
2階。グループ学習や自習ができるように島が作れるデスクと、壁際に自習デスクを。
3階。学習や研究を発表できるようにひな壇席と、プロジェクターやスクリーンを設置。
教室が並ぶ長く殺風景だった廊下も木質化し温もりのある空間に。
3号館エントランスホール。
コモンルーム。壁全体をスクリーンにして、学習発表や部活動での試合などを映しながらミーティングできるように。
3階。
吹き抜けの開口からは新しい4号館が見え、天井ルーバーがそちらに向かって指向性をもっている。
SALHAUS共同代表の栃澤麻利さんと日野雅司さん。安原幹さんは別件でこの日は来られなかった。
「使われ方を常に観察しながら次の設計に臨むことができる、非常に稀なプロジェクトです。」と栃澤さん、日野さん。
計画概要・テキスト・図面・1期〜5期までの写真(→PDFダウンロード
【横浜高等学校 4号館 / Yokohama Senior High School - Bldg. No.4】
設計・監理:SALHAUS
構造:TS構造設計
設備:総合設備計画
外構:ランズ計画研究所
サイン:氏デザイン
施工:小俣組

用途:高等学校
構造規模:RC造 + 一部S造/地上4階建
敷地面積:52,163.65㎡
建築面積:1,446.11㎡
延床面積:4,154.77㎡

横浜高等学校・中学校:www.yokohama-jsh.ac.jp

Posted by Neoplus Sixten Inc.

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