霰窓の家

Akira Koyama / Key Operation Inc.
20. 4月 2024
All photos by Neoplus Sixten Inc.
敷地は相続で3つに分筆されたうちの一角で、母と娘2人で住まう。
敷地が小さくなるとどうしても隣家が近くなるため内外を繋ぐ窓が重要なテーマとなった。
RC造に外断熱、仕上げはモールテックス。
玄関ポーチはロッジアのような雰囲気。宅配ボックスを備え、その背後はドライエリアとなる。
玄関を入ると中央に大理石張りの市松模様の廊下が延びる。施主の祖父がかつてここに建てた洋館の雰囲気を再現したデザインだ。
廊下の左手にギャラリー、右手にトレーニングルームと階段室と続き、突き当たりは地下階から3階まで通ずるエレベーターとなる。
ギャラリー。こちらも洋館の雰囲気。いくつかキャビネットなどが置かれ、数代に渡る一族思い出の品々が陳列され、応接室としても機能する。
この住宅は三菱重工の全空気式床輻射冷暖房システム “ユカリラ” を採用している。隠蔽されたエアコンユニットから温風や冷風を床下の流路に送り、金属板を介して熱を床に伝えるというもの。外断熱にすることで壁のコンクリートにも蓄熱されるので、季節を問わず空間全体が常に快適な状態に保たれるそうだ。
温調された空気は床下の流路から緩く部屋に環流する。そのため右手の壁と床の間に吹き出し用の隙間があるが、これは各部屋や廊下でも確認できる。
階段室には環流するの空気を回収する吸い込み口がある。
地下室。先祖から受け継いだ品々のほか、所持品や娘さんがコレクションしている膨大な数の人形の収蔵倉庫となる。
屋上には太陽光パネルが設置されており、奥に据えられている機器はその蓄電池。
2階。右手に洗面所と浴室、後ろに洗濯室、廊下を進むと左右に寝室。
バリアフリーの洗面所。右奥に浴室がある。
廊下は両側全て収納だ。右手はガラスキャビネットでここにも人形のコレクションが並ぶ。
寝室1。北側だが開口が5面もあるためとても明るい。
寝室2。
3階LDK。施主の希望で白基調の内装とした。
キッチンは手元が見えないように立ち上げ、人造大理石の天板でカウンターを設けた。背後はパントリー。エレベーターの右はトイレ。
冒頭で「窓が重要なテーマ」と書いた。施主からは窓が多く明るい家をと望まれたが、近隣では建て替えが進み集合住宅なども建ち始めているいることから、大きめの窓を配置しても結局常にブラインドを閉めることとなってしまうため、このように小さめで均質な窓配列とすることで内部を伺い知るとができないようにした。しかし窓は高さもあり数もあるので開放感や採光は十分に得られている。
コンクリートの躯体にフェノール樹脂の外断熱、窓はペアガラスの樹脂サッシと木製サッシを使用して、断熱等級6を実現している。
ダイニングセットは撮影用にカリモクから借用した “ニュースタンダード” シリーズ。
ダイニングキッチンの4方全てに収納を作り付けた。右手は家で仕事をすることも多い施主のために引き出し付きのデスク。
隣も親族の住宅が建つので北側斜線に掛かる部分はルーフバルコニーとした。
ちなみに隣の親族はこの家を見て小山さんに設計を依頼しているそうだ。
小山光さんを挟んで、担当の眞鍋憲人さん(右)と王琳さん(左)
「周辺から自律的に隔絶するわけでもなく、 現状の周辺に他律的に関係を委ねて開放するのでもなく、 自律的に閉じながら開くことで、 都市に豊かに住まうことができるのではないかと考えました。」と小山さん
【霰窓の家】
Azabu Perforated Facade House
設計 : 小山光 + キー・オペレーション
構造設計 : 構造設計工房デルタ
設備設計 : コモド設備計画
施工 : TH-1

用途 : 住宅
規模:地上3階、地下1階
構造:RC造、杭基礎
敷地面積:100.75 ㎡
建築面積:70.00 ㎡
延床面積:258.47 ㎡

Posted by Neoplus Sixten Inc.

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