氷川台氷川神社社務所南館

Kenta Sano
25. 12月 2023
All photos by Neoplus Sixten Inc.
長期的な境内建て替え計画のスタートとなる建築。 社務所や本殿の建て替え中に、社務所機能や授与所の他、氏子の会所、さらにはご神体を仮安置し、拝殿としても利用する。
社務所や本殿が建て替えられた後も、氏子の会所や行事で使うことができる建物を求められた。
2階を広い空間とするために、スパン7mほどではあるが、鉄骨や集成材も検討した上で神社の建物であることから木の無垢材を選び、費用面から流通材で構築するため重ね梁となった。そして梁を支える主要構造は、150角の材を縦に並べた縦ログ工法の壁柱を各辺の中央に配置した。
正面は完全にシンメトリーな構成をとることで、ある種の威厳を演出しているのに対し、側面では構造がもたらす非対称性から生まれるユニークな架構の表情を見せている。
梁材1本ずつを見ると平角材であることが分かる。これは金物を隠蔽するためには幅150mm必要であったが、縦方向は構造上150mm必要ないので、高さ105mmの平角材にして天高が低くならないようにしたが、結果編み物のような独特の意匠が生まれた。
2階に露台を設け、節分の豆まきなど行事が行われるため強度を持たせ、その下は参拝所となるため軒を深く、かつ神社建築に相応しい佇まいとした。
朱の部分はプラネットカラーを塗布した。
重ね梁は梁成315mmから420mm、525mmで構成されている。
神社の建築は寄進で行われるが、寄付金の他に資材の寄附もあり。例えば手前に見える受け取り台も氏子からの寄附だそうだ。
構造材はヒノキ。壁柱の外側はヒバの羽目板で仕上げられているが、内観では構造材そのままとなる。窓枠や建具もヒバ。
1階。右奥は授与所、左奥は休憩室、手前が社務所。
建物正面(右)に向かって梁成が変わり意匠的なポイントとなっている。
北側(左)の隣地が既存不適格の擁壁であることから、1階階高分をt250mmのRC高基礎としている。壁扱いであれば混構造となるが、擁壁を兼ねた基礎扱いなので4号建築物に定義されている。
正面、縦ログの壁柱が桁を支え、重ね梁が軒に向かって貫通している
2階の露台。手摺りは必要高さまで角材のみで成立させることも検討したが、見た目が重くなるので上半分をスチールとした。
2階、ご神体の仮安置所兼、会所。
床はケヤキ無垢材でこちらも寄附によるもの。
中央の御扉(みとびら)内にご神体が仮安置される。ご神体は設計者である佐野さんも見ることも採寸もできないので、大まかな寸法を宮司に聞き設計したそうだ。
中央下両脇を鎧戸にして、正面からエアコンが見えないように配慮した。
佐野健太さん
「長年に及ぶ境内建て替え計画の第一歩となる建築です。檜の平角材(105×150㎜)を縦横に織り込んだ重ね梁と、150×150㎜の檜柱を連結して組まれる縦ログ工法とで構成されたワンルーム空間が2層に重なっています。大きく一間分(1,820㎜)張り出した2階の外部床は、節分の豆まきや和太鼓の発表、カラオケ大会といった年中行事のステージとして機能すると同時に、直下には参拝のための深い軒下空間をつくりだします。いつまでも愛される建物であって欲しいと願っています。」
【氷川台氷川神社社務所南館】
設計・監理:佐野健太建築設計事務所
構造設計:浜田英明建築構造設計
照明設計:岡安泉照明設計事務所
施工:建匠社
PM:アルコ
用途:社務所
構造規模:木造 地上2階建て
敷地面積:410.12 m²
建築面積:40.30 m²
延床面積:58.32 m²


Posted by Neoplus Sixten Inc.
 

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