Villa A

teamSTAR®︎
29. 11月 2023
(photo: Kenya Chiba, other photos: Neoplus Sixten Inc.)
敷地は相模湾に面した関根海岸から数十メートルの場所。佐竹さんの※チームは初めて敷地を訪れた際、圧倒的な海の広がりと素晴らしい周辺環境に関係する彫刻のようなデザインが相応しいと考えた。

※設計は「teamSTAR®︎」と呼ぶユニットで行われている。それぞれ独立した建築・インテリア・デザイン事務所に所属しながら、プロジェクトによって柔軟にチームを組織し計画を進行させる。
Villa Aの模型。敷地正面は南西向きであるが、建物は真西に向け富士山を望めるようにした。雁行するボリュームは二面から景色を望め、そしてその上に波を感じさせるヴォールトの連続屋根を架けた。
道路に面した部分は地下に当たり、2台分の駐車場と基壇に穿たれたポーチの奥にエントランスがある。
エントランス扉は海辺のためステンレスを採用。
エントランスホール。上部から柔らかな光が差し込むほの暗い青緑の空間に、巨大な巻き貝を思わせる螺旋階段が現れる。
階段はRC造だが床に接すること無く吊られている。
階段を上がると視界が開け太平洋が広がる景色となる。海底から水面に上がってくる様子を演出している。
1階テラスは敷地の高低差そままに段床と階段で上昇している。
玄関を入るとテラス同様、徐々に上がっていく。右手は客間。
客間。長期滞在も可能な大きなクローゼットを備える。
そしてLDKへ。床は海岸沿いのエメラルドグリーン、壁は白浜、木部は帆船のデッキを感じさせるカラースキームで構成されている。
ここでも敷地の高低差がそのまま段床となり様々なステージを形成し、ステージによって海の見え方が異なってくる。
正面のボリュームは主寝室や水回りのプラベートエリアに通じ、その上は2階で寝室にも使えるスペースとなっている。
一面に海が広がる景色。見上げるとヴォールト屋根により見た目以上に大きな気積に感じられる。
ソファはalfrex。
プライベートエリアの四角いボリュームと、ボリュームの間に生まれたオープンなパブリックエリア、そしてその上にヴォールト屋根が架けられている構成だと分かる。
キッチンは普段は奥様が、時には料理人を呼んで料理を振る舞ってもらうための舞台 "シェフズキッチン” となっている。
タイルで製作した作業台と、背後は乳白色にした開口で、日中は自然光が、夜には外部照明で料理する人を浮かび上がらせる演習がなされている。
テーブルはオリジナルでキャンティレバーのため足下がすっきりしている。
チェアやスツールもarflex。
リビングの傍らには小上がりの和室も備わる。
2階は60㎡ほど。右手の収納には布団が納まり、家族が休んだり、さらに大人数の就寝スペースとして利用できる。
ここからは1階とは異なりもはや海しか見えない。正面奥はバルコニー。
ヴォールト屋根は実は木造だ。仕上げに木を張ったものではなく、構造材としてCLTそのものが現れている。
幅90cm、長さ7mのCLTを用いてアーチ構造に組み、アーチ同士の間にスチールの梁を通し、海側は無垢のスチール柱で支持している。
施工は石のアーチと同様に下から治具で支えながら両脇を組み上げて、最後に中心の部材をはめ込んだ後治具を取るという行程のため、高い施工技術を要し、屋根だけで1ヶ月掛かったそうだ。
1階プライベートエリアの箱の入り口で見返す。
箱の中は主寝室のほか、収納や水回り。
トイレ。
洗面室と、隣にもう一つトイレ。左奥が浴室で、正面の扉は外に通じている。
洗面台の鏡は制作で後ろからは外光が入る。
ゆったりとした浴室のジャグジーももちろん海を眺めながら浸かることができる。外に見える円筒形のものはサウナだ。
インフィニティプールの水面が海へと連続する。
リビングへ戻りテラスへ。高さ2.5mのサッシュは角から大きく開閉できるため、内外がおおらかに繋がる。
屋根を支える柱は斜めに落とされ、デザイン的なバランスを取っている。
リズミカルに上昇するヴォールト屋根。下端では床に着地しないで軽やかに見せる工夫がなされている。
エストニア製バレルサウナ。こちらも海を眺めながら。
サウナの前から全体を見る。海を全身で受け止め、屋内でも屋外でも様々なシーンを楽しむことができる。
プロジェクトリーダーの佐竹永太郎さん。「白波を彷彿させるヴォールト屋根の元、家族や仲間とゆったりと過ごすための充実したアメニティを計画しました。美しい海とつながり、のびやかに暮らすシーフロントのリゾートヴィラができたのではないでしょうか。」
【Villa A】
建築:teamSTAR®︎
 クリエイティブディレクター/アーキテクト:佐竹永太郎 (STAR)
 メインアーキテクト:奥野幹 (Moo-Flat)
 アシスタントデザイナー:簗瀬晃希 (STAR)
 マネジメント:山田慎一郎 (Yamada Studio)
 協力:江口剛一 (adLb)

主用途:別荘
構造:RC, S+CLT (Cross Laminated Timber) W造 (曲面屋根)
敷地面積:770㎡
建築面積:294㎡
延床面積:385㎡ (98㎡/B1F, 228㎡/1F, 59㎡/2F)
構造設計:soaps
設備設計:EM design
照明デザイン:Plus y


Posted by Neoplus Sixten Inc.

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