YAMAGIWA OSAKA
Yuko Nagayama
8. febrero 2022
All photos by Neoplus Sixten Inc.
永山祐子建築設計による「YAMAGIWA OSAKA」をレポート。照明や家具を扱うヤマギワが大阪のショールームとオフィスを2月4日に移転オープン。展示に合わせて空間が変化する新しいタイプのショールーム。[New Yamagiwa showroom Osaka, Yuko Nagayama & Associates]
新しいショールーム&オフィスは心斎橋駅から徒歩2分、長堀通りに面している。エントランスの両側にショーウィンドウが並ぶシンメトリーなファサードを活かすように、ショーウィンドウも店内もシンメトリーな構成となっている。
ショーウィンドウ。ガラス越しに店内を全て見通せるのではなく、柔らかなバーティカルルーバーで商品を引き立たせ、その隙間や脇から中が垣間見える。
ショールームに入るとVibiaの〈Wireflow〉が存在感を持って迎えてくれる。背後にも商品や来客の視線を一度受け止めるパーティション。中央はモルタルの研ぎ出し仕上げ、両側にフローリングの小上がりとなりゾーニングされながら、商品がレイヤー状に見えてくる。
Wireflowにはいくつかのサイズが展開されているが、このサイズが展示されているのは日本ではここだけ。
左右には斜めの天井ルーバーが連続する空間。左側はプライベートな生活シーンを再現したような展示となっている。
右側はリビングやダイニングといったパブリックな生活シーンをヤマギワが扱う家具と共に再現。
天井のルーバーが気になるところだが、これこそがこのショールームの目玉である可動式ルーバーだ。永山事務所でも初の試みで、杉の角材をスチールフレームに固定し、電動で二辺の高さを自由に可変できる。
動画。斜めにも水平にも固定することができ、水平状態のまま高さも変えられる。可動装置は既成のものがないのでオリジナルで製作したそうだ。
切妻の屋根の空間を再現しているコーナー。ルーバーの角度や高さを変えることが出来るため、ユーザーは身体的スケール感で実際の生活シーンをイメージしやすい。
見方を変えると軒のある空間を再現することもできる。また照明のショールームの泣き所である、天井に現れる大量の取り付け具やケーブルを隠蔽できるメリットもあるそうだ。
今回内装デザインのコンセプトとして着目したのが、亀倉雄策がデザインしたヤマギワのシンボルマーク。放射状に広がる光の線は日本的な繊細さを表現している。この「線」をモチーフとして空間全体に特徴を持たせた。1つ上のカットなどはまさにマークの光線を立体的に再現したかのようだ。
「線」の表現は天井ルーバーはもちろんのこと、障子のように光を透過させる半透明のバーティカルルーバーにも。
見る角度によって線から面に変わるので、光の受け止め方も変化する。そして照明そのものの見え方も変わってくるので、様々なシーンをイメージすることができる。また本数や位置は展示に合わせて自由に変更できる。
床でキラキラと光を反射させているのは光沢のある真鍮の線材。
真鍮は什器や壁にも埋め込まれ、時折キラリと反射する光線として光りの広がりを感じさせている。
光線はそのままショールームの奥へと続き、、
半透明のガラス引き戸に施された真鍮箔で垂直に切り替わる。
引き戸の奥は商談やミーティングにも利用するフリースペースで、ハイサイドウィンドウの奥がオフィスとなる。ハイサイドから見えるオフィスの照明も積極的にユーザーに見てもらおうという仕掛けだ。
引き戸で表情を変えるトム・ディクソンの照明。
ニュートラルだが少し表情を持たせ商品を引き立たせる什器。光源がLED主流になったことで、照明のデザインは急速に進化している。
単なる白とはせず、研ぎ出しで仕上げたしっかりした質感の壁で照明の明かりを受け止めている。
シーリングライトや、ブラケットライトは光がよく分かるように外光の当たらない「個室」に展示。
こちらは「フランク・ロイド・ライトへのオマージュ」と題されて、ライトの傑作照明〈TALIESIN® 2〉を永山さんの解釈でデザインし、2019年に発表した〈TALIESIN® LIGHT〉。受注生産で購入可能。
>> 永山祐子、妹島和世、鈴木啓太が参画した2019年発表イベントの記事
>> 伊東豊雄、皆川明、名和晃平が参画した2018年発表イベントの記事
>> 坂茂、橋本夕紀夫、groovisionsが参画した2017年発表イベントの記事
永山祐子さん。「このショールームの設計にあたり、ユーザーにどのような体験を提供できるかという点を考え、自宅に照明を置いたシーンをイメージできる、ヒューマンスケールを感じられる空間にしました。新しい発見や、実際の生活に持ち帰るヒントになるよう、繊細な表現や、光と影、緩やかなつながりなどを重視しています。ニュートラルでありながらどこか日本を感じさせる空間を感じ取っていただけたら嬉しいです。」
【YAMAGIWA OSAKA】
内装設計:永山祐子建築設計/担当:永山祐子、小森陽子、近藤弘起
空調設備設計:ピロティ
照明計画:YAMAGIWA
施工:WINWIN
主要用途:店舗(ショールーム)
面積:257.4㎡
所在地:大阪府大阪市中央区南船場3-5-8 1階
詳細:www.yamagiwa.co.jp
Posted by Neoplus Sixten Inc.
内装設計:永山祐子建築設計/担当:永山祐子、小森陽子、近藤弘起
空調設備設計:ピロティ
照明計画:YAMAGIWA
施工:WINWIN
主要用途:店舗(ショールーム)
面積:257.4㎡
所在地:大阪府大阪市中央区南船場3-5-8 1階
詳細:www.yamagiwa.co.jp
Posted by Neoplus Sixten Inc.