イルマン堂
Shinichi Mamiya, Neoplus Sixten Inc.
8. maio 2019
Photo by Neoplus Sixten Inc.
間宮晨一千(間宮晨一千デザインスタジオ)による東京・中央区のカフェ「イルマン堂」を訪問。
東京メトロ日比谷線小伝馬町駅から直ぐ、国道6号線に面した場所。
[Iruman-do caffe by Shinichi Mamiya]
鈍く光る真っ黒なファサード。小さな入り口と、壁に空いたいくつかの丸い穴が気になる。
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既存の「イルマン堂」は2、3階が住居、1階が店舗の昔ながらのカメラ屋で、建物ごと売りに出されていた物件を現オーナーが入手し、カフェへコンバージョンするために間宮さんに設計を依頼した。
元オーナーと現オーナーは面識はなかったが、間宮さんの提案で、地元に親しまれ続けた「イルマン堂」の名前をそのまま踏襲した。(photo:Googleストリートビュー)
Photo by Neoplus Sixten Inc.
延床面積80m2、地下RC造、地上3階木造。
築60年ほど経過しており、ファサード面を中心に外壁を耐震補強したため思い切って開口をなくした。
黒に映える銅製の縦樋は、通し方や位置も踏襲した。
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気になる丸い穴は、カメラのレンズをモチーフとした開口のようだ。
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店内へ入ると光を抑えた空間が出迎える。間口に対して奥行きは浅く、厨房、通路、2人掛けの席が二つという構成。
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メニューはコーヒーやお茶のほか、トーストや手作りプリン、スコーンなど。厨房は地下にもあり調理が必要なものはそちらで行う。
内装の仕上げはグレーのモールテックス。
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客席は2階にもある。
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2階は4人掛けが4席。こちらもささやかな照明でほの暗く、国道の喧噪をシャットアウトし、落ち着いて過ごすことが出来る空間だ。
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穏やかなBGMが流れ、ヴォールト天井で異空間に優しく包まれるような感覚になる。
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照明を抑え、設計者の意図に近い状態で撮影したが、各席にはペンダントライトの明るさを変えられる調光スイッチが備えてあり、客が好みの明るさにできる。
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そして「レンズ」を覗くとこのように。景色を見るためというより、正にカメラのレンズを覗くような仕草が必要になる。
手前にあるのはレンズの蓋。
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驚いたのが本当にレンズになっていることだ。ピンホールカメラと同じ原理で、外の景色を向かいの壁に見事に映し出している。
照明を暗めにすると良く見えてくる。
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一転、トイレは白く明るい雰囲気に。ほの暗い客席からインパクトのある演出。
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3階は座敷席。既存の梁が現しで、天井も低く茶室のようだ。日常的に客席として使うかは未定で、用途は検討中だそうだ。
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間宮晨一千さん。「お施主さんは既存の構造を活かしながら、かなり "尖った店" の設計を望まれました。そこで既存のカメラ屋さんと言う文脈を活かし、店全体がピンホールカメラのようなデザインを提案しました。そしてイルマン堂という店名も受け継ぐことで、かつてこの地にカメラ屋さんがあったという文化や歴史、記憶の継承もできるのではないかと考えました。」
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